Wednesday, January 2, 2013

朗読 - rice

朗読
kanji

迷っていた

右だとか左だとかの話じゃなくて
上手に笑う事ができなかった
あの頃の君が迷っていたのは
きっと自分自身に対して

なんとなくスクウェアの毎日で
だけど
どこか真実味に欠けた感じの毎日

君はそんな君と
一人で勝手に向き合おうとして
勝手に迷ってしまった

それは果たして先を急ぐ旅なのか
本当は始まりも終わりも
最初から無い旅なんじゃないのか

昨日の君は
行き先なんか決まってなくて
なんだかぐるぐるまわるだけの
壊れた時計みたい

広げる地図は全部真っ白で
おまけに旅の支度は
まだ何にもできていない始末

翌日 一番近くにあったカバンに
君が詰め込んだのは
トゲみたいにか細い[信念]と
ほんの少しの[知識]という蓄え

今にも折れそうだったトゲは
“願い”と共に硬く研ぎ澄まして
ほんの少しの蓄えは
“知恵” で補っていこうじゃないか
君はそう言った

それは果たして先を急ぐ旅なのか
本当は始まりも終わりも
最初から無い旅なんじゃないのか

出発の日は刻一刻と迫っているのに
君の眼には
昨日までの毎日がぼやげて映る
それはまるで
色褪せたスクリーンみたい

出発当日
[願い]と
[知恵]が詰まったカバンが2つ

君が心に誓ったのはただ一つ
景色の果てまで走り抜く事

それは果たして先を急ぐ旅なのか
本当は始まりも終わりも
最初から無い旅なんじゃないのか

あの頃の君に
この世界は霞んで見えていたけれど
迷っていたのは道じゃない

右だとか左だとかの話じゃなくて
上手に笑う事ができなかった
あの頃の君が迷っていたのは
きっと自分自身の在り方

あれから何年が経っただろう

君の目の前に広がる景色は
霞むどころか
日に日に鮮やかになっていく

[願い]はいつしか愛情に届き
[知恵]は強さになって
今日ここにたくさんの心が集まる

ずっと忘れたくないって事
心に掲げてきたもの

君は 今どこにいる?
君は 上手に笑えてる?

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